Chapter 04 / 08

今日の一言で、見立てはどう変わる?

以前の本人像を残しすぎても、今日の話だけで置き換えても、見落としが生まれる。新しい観察を取り入れる割合を動かしてみよう。

Daiki Morimoto · 約5分 · 最小構成モデルの解説

Try the model · M1

三つの案の位置を −1・0・1 と置く。これは本人の点数ではなく、計算のための目印である。

M′ = M + λ(O − M)

右へ動かすほど、今回の観察を強く反映する。

1回目の更新後の見立て M′0.320.20 + 0.20 × (0.80 − 0.20)

以前を80%残し、新しい観察を20%取り入れる。

━━ 見立て M┄┄ 観察 O

グラフの数値を表で読む
もう一つ動かす:見立てと提案を分ける
Q = clip(M′ − βr)

更新した見立てから、危険の見積りに応じた量を差し引く。範囲の外へ出た値は−1または1にとどめる。

提案 Q0.02

r=0.6は事故が60%起こるという意味ではない。提案が変わっても、本人の返事や決定はここでは変えていない。

式を、暮らしの言葉へ戻してみる

M′=M+λ(O−M)。まず、以前の見立てMと今回の観察Oの差を取る。その差のλ倍だけ、以前の見立てを動かす。M′は、更新した後の見立てだ。

λは「ラムダ」と読み、今回の話をどれほど取り入れるかを表す。0.2なら、以前を80%残し、今回を20%取り入れる。これは本人の権利を20%だけ尊重する、という意味ではない。

たとえば以前の見立てが0.2、今回の観察が0.8なら、差は0.6だ。20%だけ近づくと 0.2+0.2×0.6=0.32。80%なら 0.68 になる。上の「20%」「80%」のボタンで比べられる。

動くのは、理解する側である

場面3では、娘が以前の理解を話し、母が今の気持ちを伝えている。母の心を式で動かしているのではない。相談を受ける側が、新しく聞いたことを理解へ反映する部分を取り出している。

しかも、0.2や0.8は会話から実測した値ではない。取り入れ方の違いが見えるよう、説明のために置いた数値だ。

すばやく更新すれば、いつもよい?

グラフのパターンを「同じ新しい観察が続く」にすると、大きなλは新しい値へ早く近づく。小さなλはゆっくり変わる。以前の理解へ固定されすぎると、続いている変化を取り逃すことがある。

今度は「一度だけ変わり、次から元に戻る」を選んでみよう。大きなλは、その一度にも強く反応する。小さなλでは、揺れは控えめになる。

どちらが正解かは、このグラフだけでは決まらない。「このところずっと」という母の話が重要なのも、そのためだ。新しい観察が続くものなのか、その日だけのことなのかを確かめたい。

希望の理解と、おすすめは違う

「もう一つ動かす」を開くと、Q=clip(M′−βr) を試せる。見立てから、危険の見積りrとそれを反映する強さβの積を引き、提案Qを作る。clipは−1から1の外へ出ないようにする操作だ。

λを0.8にした例ではM′=0.68。r=0.6、β=0.5なら、提案は 0.38 になる。三案の中では、支援付き外出0に近い。βを変えると、おすすめの位置が変わる。

ここでr=0.6は事故の確率60%ではない。「小さい側へ動かす」と決めた、簡略化した模型の入力である。現実の安全や必要な介助量を計算してはいない。

提案が動いても、決定にはならない。
本人がどう答えたか、娘が本当に付き添えるかは、この式の外で確かめることだ。

理解度チェック:λを1にすると何が起こる?

以前の見立てを残さず、今回の観察と同じ値になる。ただし今回の観察が正しいと保証されるわけではない。強く反映することと、正しく理解することは別である。

式の記号を、もう一度

M:以前の見立て。O:今回の観察。λ:観察を取り入れる割合。M′:更新後の見立て。r:危険の見積りとして置いた値。β:それを反映する強さ。Q:提案。いずれも、本人の価値を採点した値ではない。

このWeb版は、日本語全文記事の内容を小分けにし、操作できる例題を加えたもの。数値は説明用の仮定であり、実在者の測定結果ではない。

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