ETIC 2.0 設計パターン集
パターンとは、繰り返し現れる課題に対して再利用できる考え方のことです。ETIC 2.0では、ケア生態系の設計でよく使う6つのパターンを整理しています。
パターン1 ケア生態系マップ
本人の作業参加に関わる人、環境、制度、技術、データを一枚の地図にします。退院支援、在宅支援、地域支援、アプリ設計の最初の一歩として使い、支援に関わる要素と抜けを見える化します。
パターン2 AIと作業療法士の共同評価
AIと作業療法士が共同で評価を行います。ただし、AIは評価者ではなく、情報整理と仮説生成の補助者です。
| AIが担うこと | 作業療法士が担うこと |
|---|---|
| 記録要約、観察項目の整理、リスク候補の提示 | 本人の意味、文脈、価値、倫理、最終判断 |
パターン3 在宅予測ループ
在宅生活の変化を、センサー、本人報告、家族の観察、専門職の評価から早期に捉え、支援を更新します。転倒、孤立、服薬忘れ、生活リズムの変化を早期に捉えることが目的ですが、予測が本人の自由を過度に制限しないようにすることが最大の注意点です。
パターン4 家族負担ダッシュボード
本人だけでなく、家族や介護者の負担を見える化します。睡眠、介助時間、精神的負担、緊急対応、役割分担を見ながら、家族を「支援資源」として消費するのではなく、支援対象として扱います。
パターン5 尊厳を守る見守り
見守りを監視にしないためのパターンです。
| 悪い設計 | よい設計 |
|---|---|
| 本人に説明せず、常時監視する | 本人が目的、範囲、通知先、停止方法を理解している |
| リスク通知で外出を止める | 外出を支える代替手段や安心条件を整える |
| 家族や事業者だけがデータを見る | 本人が自分のデータにアクセスできる |
パターン6 ケアエージェントチーム
複数のAIエージェントが、医療、生活、制度、倫理、技術の観点から事例を整理します。ただし、エージェントの出力は最終判断ではありません。
| エージェント | 役割 |
|---|---|
| 臨床エージェント | 疾患、リスク、医学的注意点を整理する。 |
| 作業エージェント | 本人の作業、役割、参加を整理する。 |
| 環境エージェント | 住環境、地域、制度を整理する。 |
| データ統治エージェント | データ、同意、プライバシーを確認する。 |
| 倫理エージェント | 尊厳、公平性、監視化の危険を確認する。 |
| 編集エージェント | 専門職が確認しやすい形に要約する。 |
実装前の点検 — 設計レビュー・ルーブリック
パターンを使って設計したケア、アプリ、サービスは、実装前に設計レビューで点検します。設計レビューとは、その設計が本人の作業参加、尊厳、安全性、公平性を支えているかを確認することです。
| 評価観点 | 問い |
|---|---|
| 作業参加 | 本人の意味ある作業が明確か。目標は本人の言葉で説明されているか。 |
| 人間責任 | AI出力を誰が確認するか。責任者と確認手順は明確か。 |
| データ統治 | 収集、保存、共有、削除の流れが説明できるか。 |
| 公平性 | デジタルを使えない人への代替手段があるか。 |
| 生活への影響 | 本人の自由や尊厳を狭めず、選択を広げるか。 |
| 家族負担 | 家族を無限の支援資源とみなしていないか。 |
| 評価指標 | 作業参加と安全性の両方を見ているか。 |
| 更新性 | 生活の変化に合わせて定期的に再設計するか。 |
このルーブリックは点数化のためだけの道具ではなく、開発者、専門職、本人、家族、行政が同じテーブルで話すための道具です。そして重要な注意があります。低リスク・高リスクと評価されるのは、本人ではなく、ケアやシステムの設計です。設計レビューを、本人や専門職を管理するためのツールにしてはいけません。
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- ケーススタディ — パターンが実際の場面でどう働くか
- my OT AI アシスタント version 2.0構想 — パターンを応用したセルフ相談ツールの構想
- ケア生態系とは何か — パターンの土台になる考え方