Chapter 02 / 08

ケアを、小さな模型にする

数理モデルは、暮らしをすべて数値にするものではない。知りたいことだけを取り出し、条件を変えて確かめるための小さな模型だ。

Daiki Morimoto · 約4分 · 最小構成モデルの解説

地図は、現実を全部描かない

路線図は、線路沿いの木や家を省いている。それでも、どこで乗り換えるかを考えるには役に立つ。数理モデルもこれに似ている。大切なのは細かさだけではなく、どの問いに答えるために、何を残したかである。

CCEの最小構成モデルも、現実の人をそっくり再現したものではない。何を入力し、どんな規則で扱い、何を返すかを、小さく明らかにしている。

三つの模型は、違う問いを受け持つ

M1:新しい観察で、見立てを更新する以前の理解と新しい情報を、どんな割合で混ぜるか。そこからどんな提案を作るか。
M0:一回の決定で、役割を取り違えない本人がどう答えたか、誰に権限があるか、必要な条件がそろったかを扱う。
M2:架空の応答を作り、変化を比べるAI提案を混ぜる割合を変え、応答の数値と選択肢の違いを見る。

M0が決定を扱う中心の規則、M1が見立てと提案、M2が別の実験用の模型だ。この解説では、身近な「話を聞いて理解を更新する」ことから入るため、M1、M0、M2の順に操作する。

三つをつなげれば、実際の相談AIが完成するわけではない。とくにM0は、本人の返事や確認条件を外から与える規則である。文章から本人の本心を読み取るAIは実装していない。M2の式で作った返答も、実際の本人の返事として使ってはいけない。

数字は、本人の点数ではない

後の記事では、外出の案に次の目印を付ける。

位置の目印この例で対応させる案
−1今回は外出しない
0支援を受けて外出する
1単独で外出する

0は「本人の意思がない」でも「未決定」でもない。支援付き外出という、一つの案を表す。1が0より優れている、という順位でもない。

三案を等間隔に並べるのは、この模型の約束である。現実での費用、疲れ、楽しさなどを測り、同じ距離だと確かめたわけではない。その約束が役に立たない問いなら、別のモデルを考える必要がある。

数式がわからなくても、最初は大丈夫

たとえば、昔の理解を80%残し、今日の話を20%取り入れる。その動きを短く書いたのが、更新の式だ。スライダーで割合を動かすと、結果がどう変わるかを見られる。

まずケースを読み、誰の何を計算しているかを思い出してみよう。数式を暗記することより、計算が変えていないものにも気づくことが、この体験の大切な部分である。

理解度チェック:見立てが変われば、本人の希望も変わった?

そうとは限らない。M1が動かすのは、周囲が持つ本人への理解である。理解する側の数値と、本人の希望そのものは区別する。

このWeb版は、日本語全文記事の内容を小分けにし、操作できる例題を加えたもの。数値は説明用の仮定であり、実在者の測定結果ではない。

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