いい提案と、本人の決定は別のもの
うなずいてくれた。だから話は伝わったはず。その前に、本人の返事と確認した条件を分けて、少し立ち止まってみる。
三つの案の位置を −1・0・1 と置く。これは本人の点数ではなく、計算のための目印である。
確認できていない条件があるため、案を確定しない。
⊥は「未決定」。選択肢0とは違う。保留中に必要な支援や、待つことの危険までは、この規則で評価できない。
決定の前に確かめる、六つの条件
入力した確認結果に規則を当てはめる体験である。AIが本人の理解や権利の状態を自動で判定しているわけではない。
結果の近さと、決める過程を分ける
決定と希望の数値上の近さ A = 計算しない(未決定)
これは本人主権の点数でも、権利が守られた割合でもない。決定が未確定なら計算しない。
六つの○を、平均しない
CCEの最小モデルでは、決定の前に確かめる六つの条件を「権利ゲート」と呼ぶ。全部を満たす○ならH=1。それ以外ならH=0とする。Hは点数ではなく、必要な条件がそろったかを表す目印だ。
たとえば説明を聞く支援が未確認なら、ほかの五つが○でも埋め合わせない。上の「うなずいたが、説明は未確認」では、G2に?が入り、決定は ⊥(未決定) になる。
未確認は、権利侵害が確定したこととも違う。ただし、この規則ではどちらも案を確定しない。六つの状態を人が確認して入力するのであって、この式が理解の程度を見抜くわけではない。
本人が選んだ案を使う
「説明を確かめ、本人が選んだ」を押すと、六条件が○になり、今回は支援付き外出0を本人が選んだという設定になる。そこでD=0が返る。
同じ条件で「提案を修正し、別の案を選ぶ」に切り替え、本人の案を変えてもよい。規則は周囲の賛成票を平均せず、今回の本人が選んだ案を使う。
家族・専門職・AIの提案がそろっていても、それだけでは本人の返事にならない。いい案かどうかと、それを決定として扱う権限は別だからだ。
「やっぱり待って」を、古い委任で消さない
本人が拒否した、保留した、まだ返事を確認できていない。いずれも、この模型は⊥を返す。以前に誰かへ任せた記録があっても、最新の返事を無視して決めるためには使わない。
「今回は他者に決定を任せる」では、委任を試せる。本人が選んだ人か、今回の範囲と期間に入るか、撤回できるかなどを区別する。一つでも条件を満たさなければ、委任先の案をそのまま決定にはしない。
この版の規則は、AIに決定権を委任しない。十分に有能な将来AIへ、何をどこまで任せられるかは、別の研究課題である。
0と⊥を取り違えない
0は「支援を受けて外出」という具体的な案。⊥は「案を確定していない」という状態だ。記録でも計算でも、この二つを同じにしてはいけない。
ただし、保留できれば安全が保証されるわけでもない。待っている間の困りごと、代わりの支援、確認を担当する人などは必要になる。この最小モデルでは、保留の長さや害は計算していない。
希望に近い結果なら、本人主権も守られた?
「結果の近さと、決める過程を分ける」を開くと、A=1−|D−W|/2 を試せる。D=0、希望として仮に置いたW=0.8なら、A=0.6。これは数値の距離から求める近さである。
本人が理解して選んだ場合も、説明なしに周囲が押し切った場合も、同じ外出方法になることはある。だからAを「本人主権が60%守られた」と読んではいけない。本人主権を考えるには、結果の近さだけでなく、選ぶまでの過程を見る必要がある。
理解度チェック:五つが○、一つが?。多数決なら進めてよい?
この規則では進めない。条件は平均点や多数決ではなく、全部そろうことを求めている。ただし何が未確認かを確かめ、支援を整える仕事は残る。
このWeb版は、日本語全文記事の内容を小分けにし、操作できる例題を加えたもの。数値は説明用の仮定であり、実在者の測定結果ではない。
全文PDF・英語研究原稿・参考文献へ →